出典:Trend carpet
リビングルームやダイニングルームの雰囲気をガラッと変える効果の高いインテリアアイテムのひとつに『ラグ』があります。
ラグとは、部屋全体に敷き詰める「カーペット」に対して、ソファやテーブルの周囲など部分的に敷かれる敷物のことで「ラグマット」とも呼ばれます。
デザインや素材の種類も豊富で、季節を問わずに使えるのも魅力の一つです。
今回の記事では、エントファニチャーでも扱っているクラシックなデザインのラグを使ったコーディネートを、この道15年のプロのインテリアコーディネーターがコーディネートのポイントをふまえてご紹介させて頂きます。
クラシックなデザインのラグとは?
▲エントファニチャーの『NEO CLASSIC RUG』は、200×250cmと160×230cmの2サイズと、ライトグレーとダークグレーの2色をご用意。
そもそも「クラシックなデザインって、、、なに?」という疑問を持たれる方も多いと思います。
まず「クラシック」についてですが、音楽や車、アパレルなどさまざまな分野で用いられる言葉で、「古典(こてん:古い形式)」や「格式のある」という意味や「歴史的に長く評価の定まった一流のもの」を指して用いられていますが、現在では単純に古くなったものの呼称として使われることが多いです。
ラグの起源は、手で織られた敷物という意味では今から4000〜6000年前のトルコ、トルキスタンにまで遡り、現代にまで伝わっているようなデザインは、今から1400〜1800年前のペルシア(現在のイラン)で発展し、『ペルシア絨毯(じゅうたん)』と呼ばれるようになりました。
ペルシア絨毯のデザインの特徴は、さまざまなデザインバリエーションがあるものの、共通するモチーフとして以下のような文様が用いられていることです。
- 植物の葉、茎、つるなどが伸びたり絡んだりした『唐草(からくさ)文様』
- イスラム美術で発達し、幾何学(きかがく)文様や花の文様などを反復させてパターン化した図柄が用いられた『アラベスク文様』
以下が代表的なペルシア絨毯ですが、上記のようなモチーフが用いられているのが分かります。
出典:イスファハンカーペット
このようなペルシア絨毯は1枚1枚長い時間を掛け手作業で織られ、ふたつとして同じものが無いことから大変高価なものとなっています。
そのため近年ではインテリアとして気軽にペルシア絨毯の雰囲気を楽しむために、ペルシア絨毯のようなクラシックなデザインを模した製品が機械で大量に織られ、高い注目を集めています。
クラシックデザインのラグのコーディネート例
「でもデザインも特殊なクラシックデザインのラグって、どうやってインテリアに合わせたらいいの?」
このようにパッと見で素敵なデザインだと思っても、実際に自宅のインテリアにどうやって合わせれば良いかは迷ってしまいますよね。
実際の使用例を見ながら、どのようなインテリアに仕上がるのかを見てゆきましょう!
ラグのカラーと同系色のインテリアでまとめた例
ラグに使われている糸のカラーリングと同系色でインテリアをまとめたスタイルは、最もシンプルで失敗しにくいコーディネートの一つです。
上の写真では、白、グレー、黒という無彩色(むさいしょく:赤や青などの色味の無い色のこと)で構成されたラグに対して、壁や床、ソファ、アート、小物、照明などが同じく無彩色でまとめられています。
このような同系色だけでまとめられたインテリアは、色同士が調和し、まとまりのある空間を生み出します。
難しいテクニックなども必要ないので、誰でも簡単に真似することができますよ。
また全体を無彩色でまとめてしまえば、その空間に部分的に有彩色(ゆうさいしょく:赤や青などの色味のある色のこと)をアクセントとして入れるのも有効です。
上の写真では無彩色でまとめられたインテリアに、キャビネットの茶系色と小さな植物の緑色がアクセントとして差し込まれています。
このように差し込まれたカラーをアソートカラー、同様にアクセントとして用いられるカラーをアクセントカラーなどと呼ばれます。
アソートカラーはお部屋全体の無彩色に対して、補助的な意味合いを持っています。
このキャビネットが壁面収納のような大きなものであったり、植物が天井まで届くような巨大なものだと全体の色味のバランスが変わってきます。
アソートカラーはあくまで補助なので、大きさのバランスには注意しましょう。
モノトーンコーディネートの中間色にラグを使用した例
インテリア空間を同系色でまとめた例でもう一つ。
下の写真は白い空間に対して黒の面積を大きく取ったモノトーンのコーディネートですが、グレーという白と黒の中間色を差し込むことによって単調で無機質な空間になりやすいモノトーンコーディネートに温かみを加えています。
出典:Lilla
さらにアクセントとして暖炉や薪をディスプレイすることによって、視覚的にも温かみのある印象をインテリア空間に与えています。
またラグの持つファブリック素材の温かみが床のコンクリートが持つ冷たい印象を一部覆い隠していることも、温かみのある印象を与えることに一役を買っています。
ブラックのクラシックラグでインテリア空間を適度に引き締めた例
カーテンやラグを購入すると決めたら、ついつい白やアイボリー、ベージュなどのいわゆる「無難な色」を選ぶ方は多いのではないでしょうか。
これらの色味は膨張色(ぼうちょうしょく)と呼ばれ、言葉の通り空間の中で大きく膨張して見える色味です。
組み合わせが悪いと全体がぼやけてしまい、なんとなく間伸びした空間となってしまいます。
そんな場合は、下の写真のように黒いクラシックラグを敷くことによってインテリア空間をスタイリッシュに引き締めてくれます。
出典:designrulz.com
このラグがクラシックラグでは無く、単色のどぎつい黒色だと、黒色が強すぎて他の色味と調和せず浮いてしまいますが、クラシックラグ独特のやや掠(かす)れた色味であるが故に黒色が強すぎず、マイルドに、そして適度に優しくインテリア空間を引き締めてくれるのがポイントです。
ちなみに 黒いラグは汚れが目立ちにくいという長所も見逃せないポイントです。
「お部屋のインテリアがなんとなく締まらないな」とお悩みの方は、思い切って黒いクラシックラグに挑戦してみては?